SCENE014



「ビィの子宮ね。そんな記録、有るかしら」
「有ると思うな。キャンプの書庫ならたぶん有ったんじゃないかな」
「あそこと違ってここにあるのはまだ、ぜんぜん整理してないからね」
ミナミとモナモナとトキヤの3人は、メグミの話を聞いてからずっと飛空艇の狭い書庫に篭っていた。
書庫といっても、樹海で拾った黒い石版(統一帝国時代に作られたメモリー・カード。小さな一枚に刻印により圧縮され記録された膨大な情報が納められている)を放り込んだ物置だ。
「うーん、無いな」
手をかざして、石版達を検索するトキヤ。
「探すとなかなか出てこないのよね」
「そーいうもんよ」
ミナミとモナモナは、せっせと石版の汚れを落としてケースに並べる。ホントに拾ったままの状態だった。
「あった」
トキヤは、一枚を摘まみ上げた。
「どれどれ」
ミナミが受け取って中を見る。閲覧するには法術を必要とするが、かなりやさしい術で印も使わない。
「えーと、『ビィの子宮……ビィを造り出すものとされ、この世を終末に導く道具の一つである』だって」
「ビィの子宮の弱点とか、解体方法とか書いてないの?」
モナモナは、メグミの頭に乗る。
「書いて無いわ。これ大崩壊の直前に書かれたみたい。ビィへの恨みつらみが延々と書いてあるだけ」
「やっぱり、そんなところか。キャンプに有ったものと大差ないわね」
「造った人間が壊せなかったんだから、他の人間には無理なんじゃない?」
「そーでもないわ。現に完成していた3基は大崩壊寸前に壊されているんだし」
「その方法が見つかればいいんだよね」
トキヤは、検索を続けている。
「例え有っても、あたしたちに到底使いこなせない古代法術のオンパレードでしょう」
「使えるかどかは、方法が見つかってから心配すればいいよ」
「トキヤの言うとーりか」
「それより、七神教会にでも当たったほーが早いかもね」
「いや、知ってたらとうに壊しているんじゃないかな」
「それか使えない法術か……あまり考えたく無いわね」
「どっちにしたって、ここに有る石版て、ぜーんぶ樹海で拾ってものでしょう、こんなにごちゃごちゃじゃ内容がランダム過ぎてどーしよーもないじゃない」
「そんなこと言っちゃって、ミナミってば単に飽きたんじゃないの?」
「ギクッ」
「あんたねえ、コトの重要性ってのをちゃんと把握してるの?」
「してるわよ。でもさ、楽園の扉が開いて一年経ってるのに、伽国の外には樹海が広がってないわけじゃない。意外と千年の間に人類の英知もいくらか進歩したのかもね」
「そーだと、ありがたいんだけど」
「もー、心配症なんだからモナモナは」
「ミナミが楽天過ぎなの」
「トキヤは、どー思う?」
「問題は、ユニオンだよね。伽国で、ビィの子宮討伐の仲間に入れてくれるかどーか」
「ユニオンだったら、ビィの子宮に関するデータも豊富に残ってるだろーし」
「それは怪しいけど……まあ、本部でも出て来れば話は違うか……いや同じか」
モナモナは、歯切れの悪い口調で呟く。
「ユニオンの本部?本当にそんな有るの?あたしは絶対に眉唾な噂だと思うけど」
ミナミは手の汚れを払って腰に手を当てた。
ユニオンは国単位の支部によって運営されている。それらの地位は平等であり、表立ってそれらを統合する組織の存在は無い。
ただ、噂としてユニオンのすべてを統括する上部組織があるという噂がまことしやかに流れていた。無論、良識の有る大人は本気にすることの無い類のうわさで有る。
「ユニオンの本部は存在するわ。何処にあるのかは、あたしも知らないけど。地の大陸で最も強い軍隊を抱えている筈よ」
モナモナは石版の山の上で腕を組む。
「じゃあ、地の大陸の平和は、そいつらに任せることにしようよ」
「任せられるなら、それでもいいんだけど、こと禁忌呪法が相手だとすると、かなり部が悪いわね。本部より禁忌呪法の研究が進んでいたのは、我等が那岐のキャンプだったからね」
「……だとするとモナモナが地の大陸でいちばんの禁忌呪法のスペシャリストということになるの?」
「まあ、そうとも言えるわね」
得意そうに胸を張る小さな妖精。
「地の大陸って滅んだも同然かも」
ボソリと呟くミナミ。
「失礼なことを言う子供は、くすぐり地獄が待ってるわよ」
「あーん、ちょっとお茶目したかっただけです、モナモナ様っ!」
そんな2人をよそにトキヤはせっせと作業を続ける。
「まあ、危険なモノを封印しておきたい気持ちもわかるけど、持ってるなら少し貸してくれてもよさそーなものなのに、まったく融通が効かないんだから」
後半には、モナモナの私怨が入ってる。
「おっきい組織なんて、そんなものじゃない」
「こっちの出番が無いなら、それに越したことはないけど」
「そんじゃ、一休みしよー」
「あんたの目的は、それか」
「へへへへへ」
「なかなか出て来ないね」
トキヤは肩をすくめた。
「ふむ、やっぱりビィの子宮クラスになると、拾った石版では駄目か」
「あれほどの法術兵器ともなればね、当然、軍事機密ってやつでしょう」
「だよね」
「でもさ、統一帝国なのに、どうしてこんな危ないものを造ったのかな?敵なんていなかったのに」
「敵は、いたわよ。知らないのミナミ」
「えっ、統一帝国の他に国があったの?」
「歴史の時間では、年代記をテキストにしてるから無理はないか」
「歴史は得意だったんだけど」
「年代記では、すっぽり抜け落ちてるけど統一帝国は、大崩壊の何千年前から内戦状態にあったと言われてるわ」
「ホントに?」
「大崩壊に至る道筋ってものがあるのよ。年代記では、まるで大崩壊の前日に禁忌呪法を操る者が登場するけど」
「考えてみれば、そんなわけないか。トキヤは知ってたのね」
「うん、これでも『黒のモナモナ』の弟子だからね」
「そーいうこと。それだけに最後の最後に造られたビィの子宮は、厄介過ぎる代物なのよね」
「まあ、駄目なら、尻尾を巻いて逃げればいいわ」
「とにかく、伽国のビィの子宮。調べられるだけ調べましょう」
「うん、ボクたちのキャンプのこともあるからね」
「それって、やっぱり」
「同じ術者かどーかまでは、わからないけど、同じ系統の禁忌呪法の術者であることは間違い無いわ」
「つまり今回は、ビィの子宮が自分で目を覚ましたんじゃない。そいつが起こしたんだね」
「たぶん」
「いったい、何のために」
「地の大陸を滅ぼす為……」
「それって、まさか2千年前に大崩壊で滅んだ敵が……」
「まだ、その結論を出すのは早いわ」
「うん、滅多なことは口にしないほーがいいわね」
ミナミは、自分の口に手をやる。
「じゃあ、夕食にしよーか」
「わーい、今晩は何なの?」
モナモナは、トキヤの頭に飛び乗る。
「カレー」
「あたしは激辛がいい」
「いいよ」
「わーい」
「なにか、緊張感が一気に緩むな」
2人のやり取りを見ながら、ため息をつくミナミ。それでも次には、笑みを浮かべてしまう。

満天の星空の下にメグミはいた。激辛のカレーで口がヒリヒリしている。
「ふう、またいっぱい食べちゃった」
デッキの手すりにもたれている。
「まあ、いいか」
メグミの記憶は、ほぼ完全に回復していた。楽園に足を踏みいれた時のことも。トキヤたちに始祖カズ・イズマの話をしながら、自らの記憶も整理したのだ。
「トキヤたちこれ以上、深入りさせるのは危険だな」
彼等が、那岐国のキャンプを襲った禁忌呪法の術師を探しているのは知っている。ビィの子宮のこととも関連しているのは間違いないと思う。
「彼等には無理だ」
ビィの子宮には勝てない。それを目覚めさせた術師にも同じだ。
「どーするメグミ」
自分に問い掛けたが、いい考えが浮かんで来ない。
「お前は、どう思う?」
妖精の卵を引っ張り出して問い掛ける。
「そうだな。お前がトキヤたちを選んだのだったな」
「『この世に偶然なんてない』か」
両手でそっと卵を包み込んだ。

ドタドタと足音を響かせてヨシアが書庫に飛び込んだ。
「トキヤ、ちょっと来い」
「んっ」
トキヤは独り書庫に残って検索を続けていた。
モナモナとミナミは、検索に引っ掛かった石版を食堂のテーブルに並べて詳細な調査している。
「なに」
手を止めてヨシアの顔を見る。
その眼差しは美少女と区別が着かない。
「循環液の濃度なんだが、トキヤも見てくれないか」
「いいけど」
検索の手を止めたトキヤは、ヨシアの後に続いて白虎の格納庫に入る。
「濃度が変なんだよな」
「ガスでも入ってるの?」
「いや、濃度だ。メーターを見てみろ」
濃度計を指し示すヨシア。
「70%は無いね。現在68%ってとこか」
トキヤが針を読む。
「昨日から変わってない。むしろ70%から2%も落ちてる」
「変だね」
「変だろ」
「ウロコの精製油は、増えてるのにね」
「何処か漏れてないか」
「漏れてたら警告灯がつく筈なんだけど」
「そうだよな」
腕を組んで首をひねるヨシア。
「何処かで消費してるのかな」
トキヤは、循環液の流れるパイプに手を置いた。体温より、少し低いぐらいの温度になっている。
目を閉じなくても、循環液の流れるイメージが見える。飛空艇の細部まで、血液のように流れていた。
「やっぱり、補修に回ってるみたいだよ」
「何処か壊れてるのか?」
「全体的に」
「そーとは思えんが」
「拾ったころよりはマシになってるけど、まだ本来の機能を取り戻していないんだね、きっと」
「そうなんか」
「暫くは、このままでもいいと思うよ。もしかしたら濃度が上がらずに、精製油を使い切っちゃうかもしれないけれど」
「白虎と黒王にも少しは回したいところだな」
「じゃあ、あっちにはパウダーにしてある方を使おう」
「そうするか」
「作業日程が伸びるけどね」
「仕方ないだろ、それは」
「うん、効率ばかりも優先してられないからね」
「最優先は、俺達の命だ」
「ヨシアあたりなら、その優先順位を落としても大丈夫そーだけど」
「そのとーり」
「じゃあ、早速」
「コラ、早速どーするんだ」
ヨシアは、後ろからトキヤの頭を拳で挟んでゴーリゴリ。
「いててててっ!冗談だって」
「ウヒャッ!」
ヨシアが尻を押さえて飛び回る。
「どうしたの」
「ケツが熱い!」
白い煙が吹き出していて、何だか凄い。
「尻に火がついたってね」
格納庫の入口にカレンが立ってる。
「あたしのトキヤをイジメちゃ駄目よ」
ピッと指を動かすとヨシアの尻の煙が収まった。
「おまえな」
ヨシアは、ワナワナ震えながら、自分の尻を撫でる。
「ちょっと熱くしただけよ。なんともないでしょう」
「どお」
ペロンと尻を出してカレンに見せるヨシア。
「キャアッ!」
「ちゃんとよく見てくれよ」
ズボンを下ろした半ケツのままピョンピョンと尻を出したままカレンの方へと跳ねるヨシア。
「止めてよ!」
ドカッ!
「ゲッ!」
ヨシアのケツに蹴りを入れて止めた。おかげで彼は顔から床に転がる。
「もお、変なモノを見せないでよね」
赤い顔をしたカレンは、プイっと横を向いてスタスタと行ってしまった。
「お尻に靴の跡が付いてる」
カレンに代わってトキヤがヨシアのむき出しのケツを観察した。
「そりゃ、どーも」
ヨシアは、顔を床に着けたまま礼を述べた。

「どーしたのメグミ?」
ミナミがデッキのハッチから顔を出した。
「うん、星を見ていただけだ」
「ふーん」
ミナミもデッキに出て来る。
「明日、昏也の自由市でわたしを飛空艇から降ろしてくれないかな」
メグミは、星を見たまま。
「買い物でもするの?」
「いや、伽国には一人で帰ろうかなと」
「どーして」
「いや、世話になった礼は、後でちゃんとするから」
「そんなことはどーでもいいよ、飛空艇の方が早く伽国に帰れるのに。何か嫌なことでもあるの?」
「そんなことは無い。みんなよくしてくれる。感謝こそすれ、嫌だなんて」
「じゃあ、どうして昏也の自由市で降りるなんて言うの」
「伽国に来れば、みんなを危険に晒すことになる」
「あたし等を?」
「みんなに、これ以上の迷惑は掛けられない」
「迷惑だなんて思ってないよ」
「結果は同じことだ」
「伽国って、そんなに危険なの?」
「ビィの子宮、いろいろ調べているよーだが、現在の人間の手に負えるものではない。アレを始末するなんて不可能だ」
「そんなのやってみなくちゃわからない」
「アレを止めるなんて無理だ、だからみんなには、地の大陸から逃げて貰いたい」
「そんなに強いのかな、ビィの子宮って」
「それだけじゃない、禁忌呪法の術師が近くにいるかもしれない。わたしは見たんだ、あの女が……」
「なに!」
ミナミは、メグミの肩を掴んだ。
「見ていたのか、禁忌呪法の術師を!」
メグミを激しく揺さぶった。
「痛い」
「あっ、ごめん」
「見た。まず間違いなく、あの女が扉の封印を破ったんだ」
「詳しく話してくれないか」
「しかし、あいつとやりあえば、みんなの生命が危険……」
「そんなことは、どーでもいい!そいつを倒せるなら、あたしの命なんか、くれてやる!」
「ミナミ」
「メグミも知ってるだろ、那岐国のユニオン・キャンプのこと」
「ああ、聞いてる」
「あたしは、キャンプを焼き払った奴を許さない。幼い弟や妹を殺した奴を許さない!絶対にこの手で……」
言葉の最後は、鳴咽に紛れてメグミには、聞き取れなかった。
「わかるよ」
メグミは、小さな子供みたいに泣くミナミをやさしく抱き締めた。

「た、大変よ!」
カレンが、書庫に飛び込んだ。
「ごめんカレン、いまお腹いっぱいなんだ」
トキヤは、石版を検索を続けながら、振り向きもしない。
「なんの話をしてるの!」
「なんの話をしてるの?」
やっと、振り向いて、息を切らせて肩で呼吸しているカレンを見た。
「大変なのよ、デッキでミナミとメグミが抱き合ってたの」
「ふーん」
興味なさげにまた、石版の検索を始めるトキヤ。
「ふーんじゃないわよ。大変なの!」
カレンは、反対に熱くなる。
「だって、メグミとミナミが仲良くしているだけだろ、別に騒ぐことじゃないと思うけど」
「駄目よ、いけない絶対にいけないわ!」
「ヤキモチ?」
「違ーう!そーじゃなくて」
「と、おっしゃると」
「トキヤ、注意して来なさい」
「えー、やだよ」
「どーしてトキヤ、ミナミが不毛な愛の世界へと飛び立とうとしているのよ!仲間として、ちょっと冷たいんじゃない」
「そーかな、そんなの本人の自由だと思うけど」
「そーよ。でも」
カレンが、トキヤの背中にピタッと張付いた。
「トキヤが、あんな女のこと、放っておけって言うんなら、放っておくわ」
「別に放っておけとは言わないけどさ」
「いいのトキヤ、変な女は王女様にプレゼントしちゃいましょうね」
「と、同意を求められても」
「これで邪魔者は消えたし、トキヤは、あたしだけのものね」
ギューっと抱き締める。
「ちょっと、苦しいんですけど」
カレンの腕がトキヤの首に掛ってる。
「いいの」
もっと強く抱き締める。
「良くないなカレン」
そのまた後ろから声。
「ギクッ」
「トキヤになにを吹き込んどる」
「はひ」
ミナミが、後ろからカレンの口に指を突っ込んで、両側に引っ張っていた。
「全く、油断も隙も無いな、この女」
「あたひは、ただホントのことを……」
「何処にホントのことがあるのよ!」
「らって」
「さあ、カレンちゃん『学級文庫』っ言ってみい」
「ひやー!」
「おい、みんなを集めて話をするんじゃなかったのか」
メグミが、書庫の入口から覗き込む。
「……苦しいって」
その頃トキヤは一人で、精霊になりかかっていた。

「えっ、ミナミとメグミが抱き合ってるのを見たカレンが逆上して、トキヤを絞め殺そうとしたって!」
モナモナが、食堂のテーブルに突っ伏しているトキヤの頭に着陸した。
「要約すると、そーなるらしいな」
ヨシアが、トキヤを食堂に運んで来た。
「危うく精霊になるところだった」
青い顔を上げるトキヤ。
「駄目よ、あんた達、痴話喧嘩に関係ないトキヤを巻き込んじゃ。当事者だけでやりなさい」
モナモナは、トキヤを治療しながら3人娘にお説教。
「あたし等は、別に」
「ねえ」
「わたしは知らんぞ」
3人に当事者の自覚は無い。
「それで、話ってなに?」
トキヤの色が元に戻りつつある。
「メグミの記憶が完全に戻ったんだ」
ミナミが、身を乗り出す。
「それは、おめでとう。3日で完治なら早かったわね」
「ありがとう、みんなのおかげだ」
「いや、たいしたことしてないよ」
「じゃあ、解散」
「さて、寝るかな」
「ヨシア、あんた寝過ぎよ」
「んっ、そーか」
「ちょっと待て、あたしは、まだ本題に入ってないぞ」
ミナミがバンとテーブルを叩いた。
「なんだ、それなら早く言えよ」
「勿体ぶるな」
「カレン、あんたが途中で解散なんて言うからでしょう!」
「ふーんだ!」
「おっ、そーくるか」
「ふふん、じゃあ、どーする」
「クスグリ地獄」
モナモナが、ボソっと呟く。
「や、やーねえモナモナ、なに誤解してるのよ」
「そ、そーよ、あたし達すごーく仲がいいのよ」
「ほらね」
「そうそう」
2人は、立ち上がって肩を組むと左右に横揺れ。
「じゃあ、2人が友情を確かめたところで解散」
「じゃなくて、モナモナもちゃんとあたしの話を聞いてよ」
「聞いてるわよ、さっきから」
「メグミが術師のことも思い出したのよ」
「それって、……あの封印を破った」
「多分な」
「やっぱり、見てたのか」
トキヤは、椅子にもたれて、脱力したかのように目を閉じた。
「それで何時、何処で見たの?」
「いったい、どんな奴なんだ?」
「禁忌呪法の使い手なんでしょう?」
「そんないっぺんに質問されても困る。ちゃんと順を追って話すから」
「ゴメン」
「ボク等は、まだ、冷静になれないんだ。たった一年前のことだからね」
トキヤは目を開けた。
「わたしもわかるよ。同じだ」
「そうだね」
「じゃあ、話すよ」
メグミは、掘り出したばかりの記憶の中へと意識を沈めた。




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